虹の女神上映記念オールナイトを観た。

 虹の女神上映記念オールナイトを池袋のテアトルダイアさんで観た。
 「リリィ・シュシュのすべて」、「ニライカナイからの手紙」、「ジョゼと虎と魚たち」の3本とも未見だったため、大変楽しませてもらった。テアトルダイアのスタッフさん、参加された方がた、お疲れまでした。
 「リリィ・シュシュのすべて」は2001年公開ということで、全編に渡ってきれいな田舎畑の風景に囲まれる学校とそこで生きなければいけない主人公達の陰鬱でときに残酷な内面が不安にさせる。主人公たちの過ごす時間には、圧迫感、空気感が良く出てて、いうなれば「ダーク岩井俊二の全て」って作品だった。架空のリリィシュシュというアーティストのネット書き込みと市原くんたちの仲間の友情が、やがていじめ(男子だけじゃなく女子の中にもいじめがあるのがリアル)やレイプ、エンコウ、裏切りなどなどが救い無く描かれている。
 市原くん、蒼井優さん、田中圭くんや今、活躍している俳優さんの若い(というより幼い)映像、観れるのは貴重。そしてみんな演技うまいなー。というより13、14歳そのものって感じの演技が素晴らしい。
 ちょっと笑ったのが物語の中盤、沖縄の離島が出てくるのだけど、髭のあやしげな男の人が沖縄でロックで有名なカッチャンだった。この男の人や離島の人のしゃべってる言葉、字幕がでるのだけど、かなり沖縄本島よりの方言だったのはわかりやすくするためかな?って思ったり(宮古八重山の現地の人の方言でしゃべられると自分や沖縄本島の人が聞いても何しゃべってるのかほとんど判らない)。
 「ニライカナイからの手紙」は「虹の女神」の熊澤尚人さんの監督作品。こっちは沖縄の離島がおもな舞台、字幕とかはなく、自分のとってはわかりやすい沖縄本島の方言をみんなしゃべる。
 主人公の安里風希役を蒼井優さんが好演。
 とにかく蒼井さんひとりの演技がすごすぎて、他の俳優さんがみんな、かすんでしまっている。エキストラの人と蒼井さんが差がつくのはしょうがないけど、重要なおじぃ役の平良進さんも自分から見たらかなり蒼井さんに演技で負けている。母親役の南果歩さんの演技良かったが、この映画で(自分はポケットビスケッツで有名なタレントの千秋しかみえず)後半かなり感動させるシーンでも千秋が演技してるーって全然泣けずって余計か。
 全編、沖縄の南国のふんいきが出したかったのか、とにかく色彩が明るい。主人公のまわりの背景が白く、光で輝いているシーンなどがあるのは「虹の女神」だけでなく熊澤監督の特徴なのかな。
 まじめな作品だと思ったけど、安里風希の女友達の人は沖縄での出演シーン、ほとんど太もも出てて、制服だったらミニスカートにしてたり、普段着が短パンだったりでその子の脚が3作品で一番エロかった。
 ジョゼもそうだけど、この3作品は女優さんたちの演技を観る映画だと思った。特に蒼井さん、池脇さん、上野さんの3人が素晴らしい。
 ジョゼは関西弁の面白さ、おんなの悲しさ、おとこの弱さ、そしてエロとギャグが計算で演出されていて、なるほどヒットするわけだって感心しまくり。3作品の最後の4時過ぎからの上映で観ている人が眠たいはずなのに、声を出して、みんなで笑えるギャグがちりばめられているのは、犬童監督のおみごとです。尊敬します。
 ただこの映画の女の子たちの服装はかなりひどく(特にお嬢様役のはずの上野さんのマフラーは気持ち悪いほど原色でかつ服との組み合わせが変な色)大阪の女の子ってあんなんなん?って思われたらかわいそうだな。
 そこは犬童監督の狙いがなにかあるのかな。